今ではデジタルにその座を奪われかけている『紙の時刻表』。よほどの鉄道好きでなければ、そもそも見たことさえないような人までいる時代になった。
私にとっては、ずらっと並ぶ数字や「レ」の文字、駅名を眺めているだけで面白い。
小三のときに初めての時刻表を買ってもらった
私が小3ぐらいだっただろうか。無類の鉄道少年だった私に、母が時刻表を買ってきてくれた。たしか、交通新聞社の「コンパス時刻表」だったと思う。何を思ってプレゼントしてくれたのか分からないが、私はハマってしまった。
まず、時刻表の初めの方に載っている路線図が好きだった。地元はもちろん、全国の路線が載っている。読めない駅名、路線名が無限にあった。「日本は広いな」と思ったものだ。地元の駅名は辛うじて読めたので、そこらへんを中心に見ていた。鉄道ノートを作り、自分で路線図を描いてみたりもした。
そして、ずらっと並ぶ時刻。「ここからここまではこの程度の時間でいけるのか」など思いながら、到着時刻から出発時刻を引いて所要時間を求めることに注力していた。田舎という狭い世界で生きていた私にとって、それが唯一の外界へのアプローチみたいなものだった。
そのような感じで、日々妄想旅行に浸っていた。
時刻表で養った力
時刻表と共に過ごした日々だったが、そのおかげで色々な力がついたと思う。
- 地理力
- 計画力
- 漢字力
まず、地理力。これは路線図を眺めていたので、「主要な駅が何県のどこにある」などは覚えていた。つまり、47都道府県と県庁所在地は路線図で覚えたようなものだった。
大抵の地名は分かるようになった。今は「〜出身です」なんて言われても、「あぁ〜、あそこね」と頭のなかに大体の場所が浮かぶ。これはすごい役立っている。
次に、計画力。計画力というよりかは、旅行のプランを立てるのが上手くなったと言うべきか。日本全国の鉄道網を把握しておくだけで、グッと旅行の計画が立てやすくなる。どの路線で行けばいいのか、どのくらい時間がかかりそうかなど、予想がつくようになった。これも大きい。
最後に漢字力。これは言わずもがな、駅名を覚えると同時に身につけた。駅は本当にたくさんあり、変な読み方をするものもあれば普通の駅名もある。これらを楽しみながら覚えることで、漢字力を養えたと思う。
「半家(はげ)駅」とか「増毛(ましけ)駅」など面白い駅名が全国にある。駅名と土地の歴史を合わせて調べるのがまた面白い。
そして、今は
そして今は鉄道への興味は薄れてしまったが、地図への関心はさらに強くなった。これも時刻表の路線図のおかげだろう。地図を見てここが気になると思ったら、実際に自分の足で行ってみるようになった。初めは近場しか行けなかったが、好奇心が「さらに遠くへ」と誘ってくれた。ついに昨年、自転車で廃線探索がてら北海道一周をすることができた。これも時刻表に出会っていなければ、成し遂げることができなかったであろう。
最後に
小学生時代から時刻表に触れたことで様々な知識が身についた。そして、好奇心も養えたと思う。デジタルの時刻表が悪いというわけではないが、自分の手でページをめくって楽しめる紙の時刻表には勝てない。
ぜひ、一家に一冊、時刻表を置いておくことをオススメする。
おわり。